文系大学生の皆さんは、Web3という新しいインターネットの潮流に興味を持ちながらも、「技術的な知識がないから無理なのでは?」と不安を感じていませんか? 実は大学で学ぶリベラルアーツ(教養学)の知識は、Web3時代に貴重な武器になります。
私のIT業界での経験から、技術だけでなく、人間理解や社会構造の分析といった文系的視点がいかに重要かを痛感してきました。特にWeb3の時代では、この文系的素養がさらに価値を増しています。
私が「文系Web3人材」と呼ぶ人材は、従来のIT業界の「理系エンジニア」像とは異なり、社会や人間を深く理解する力を持つ新しいタイプのプロフェッショナルです。採用責任者として多くの候補者を見てきた経験から、技術スキルと文系的素養を併せ持つ人材がいかに貴重か、日々実感しています。
Web3の世界は、まるで大航海時代の新大陸発見に似ています。地図がまだ白紙の領域に、総合的な教養・知識、視点を持った人が新たな航路を切り拓く。そんな時代がいま、目の前に広がっています。
この記事を読むことで、あなたの文系知識がWeb3の世界でどのように活かせるのか、具体的なキャリアパスが見えてくるでしょう。Web3は単なる技術革新ではなく、社会構造そのものを変革する動きであり、そこには人間理解や社会分析といった文系的視点が不可欠だからです。
◾️この記事でわかること
- Web3とは何か、なぜ今注目されているのか
- リベラルアーツがWeb3で重要視される理由
- 文系知識がWeb3のどの分野で活きるのか
- 文系大学生のWeb3キャリア構築法
- リベラルアーツを活かした具体的なWeb3就職戦略
◾️この記事のポイント
- Web3は技術だけでなく、人間理解や社会構造の再設計を含む分野である
- 批判的思考力や多角的視点といった文系的素養がWeb3では差別化要素になる
- 個人の実体験と専門知識を組み合わせることでSEO競争で優位に立てる
- ブロックチェーンの基本を理解しつつ、自分の専門性を掛け合わせるのが重要
- 実践的なポートフォリオ作りが就活成功の鍵となる
目次
文系知識活用の3ステップ法
私が採用責任者として見てきた成功事例から導き出した「文系知識活用の3ステップ法」を紹介します。
- 発見
自分の専攻や興味分野とWeb3の接点を見つける。たとえば、文学ならNFTストーリーテリング、経済学ならトークンエコノミーなど。 - 翻訳
文系的な知識や考え方を、Web3プロジェクトの現場で「翻訳」して伝える。難解な技術用語を、社会的な意味や物語として説明する役割です。 - 共創
異なるバックグラウンドの人と協力し、独自の価値を生み出す。たとえば、エンジニアと組んで新しいDAOのガバナンスモデルを設計するなど。
この3ステップを意識することで、文系Web3人材としての存在感を発揮できます。
Web3とは何か?
Web3とは、分散型のインターネットの新しい形態です。中央に管理者がおらず、ユーザー自身がデータを管理し、ブロックチェーン技術が基盤となっています。
これまでのインターネット(Web1.0、Web2.0)は、GoogleやFacebookなどの大企業が中央管理者として存在し、私たちのデータを収集・活用してきました。一方Web3では、この中央集権的な構造を解体し、ユーザー主導のインターネットを目指しています。
Web3は単なる技術革新ではなく、「権力の再分配」「所有の再定義」といった社会科学的テーマを含んでいます。つまり、歴史学や社会学、経済学、哲学といったリベラルアーツの知見が、Web3の本質を理解する上で極めて重要なのです。
私が最初にWeb3に興味を持ったのは、経済学部で学んだ「市場と価値の分配」という観点からでした。技術と経済学の両方の視点を持つことで、Web3プロジェクトの本質をより深く理解できると実感しています。
リベラルWeb3思考とは?
私は「リベラルWeb3思考」という新しい考え方を提案します。これは、技術偏重ではなく、社会・文化・倫理・経済など多様な視点からWeb3を捉え、価値を創出する姿勢です。
たとえば、Web3の分散型ガバナンスを「近代民主主義の進化版」と捉えたり、NFTアートを「デジタル時代のルネサンス」と位置付けたりするなど、歴史や哲学の知見を現代のテクノロジーに接続する発想です。
批判的思考力と多角的視点の価値
Web3の世界では、批判的思考力が極めて重要です。新しい技術やプロジェクトが次々と登場する中、その本質を見抜き、社会的影響を予測する力が求められます。
文学や哲学を学んだ経験は、テキストの深い読解力や論理的思考力として活かせます。特にホワイトペーパー(プロジェクトの詳細説明書)の分析や、コミュニティの動向予測において、この力は大きな武器となります。
経済や経営学部で学ぶ内容が、複雑なWeb3プロジェクトの本質を見抜く際に非常に役立ちます。技術者が見落としがちな社会的影響や経済的な問題を指摘することで、プロジェクトの方向性に影響を与えることができます。
コミュニケーション能力の重要性
Web3の世界では、グローバルなコミュニティとの対話が不可欠です。英語や他言語の運用能力、異文化理解力は、国際的なプロジェクトに参加する際の大きなアドバンテージとなります。
また、複雑な技術を非技術者にも分かりやすく説明する「翻訳者」的役割も、文系出身者が得意とする領域です。技術と社会をつなぐ架け橋として、あなたのコミュニケーション能力が光ります。
社会課題への感度と倫理的視点
Web3は技術的可能性と同時に、新たな社会課題も生み出しています。デジタル格差、プライバシー問題、権力の集中といった課題に対して、社会学や倫理学の知見を持つ文系人材の視点は非常に価値があります。
技術だけでなく、「その技術が社会にどのような影響を与えるか」を考える視点は、持続可能なWeb3プロジェクトの設計に不可欠です。
専攻別Web3活用法:あなたの学びを最大限に活かす
文学部生のWeb3活用法
文学部で培った物語創作能力や文章力は、NFTプロジェクトのストーリーテリングやコンテンツ制作で大きな強みとなります。特に「世界観構築」の能力は、メタバースやNFTコレクションの価値を高める重要な要素です。
また、文学作品の分析で培った批評眼は、Web3プロジェクトの本質を見抜く力になります。例えば、Bored Ape Yacht Clubのような成功したNFTプロジェクトは、単なる画像ではなく、強力なコミュニティとストーリーを持っています。このような物語性を分析・創造できる力は貴重です。
経済学部生のWeb3活用法
経済学部生は、トークンエコノミーの設計やDeFi(分散型金融)プロジェクトの分析で力を発揮できます。ミクロ経済学やゲーム理論の知識は、インセンティブ設計やトークン価値の安定化メカニズムの構築に直接活かせます。
例えば、Merit Circleのようなプロジェクトでは、ゲーム内経済とトークン価値の持続可能性を両立させるために経済学の知見が活用されています。また、MakerDAOのような複雑な金融システムの設計には、伝統的な金融理論の理解が不可欠です。
社会学部生のWeb3活用法
社会学部生は、DAOのガバナンス設計やコミュニティ形成で独自の視点を提供できます。集団行動や社会構造の理解は、分散型組織の意思決定プロセスを最適化する上で重要です。
Friends With BenefitsのようなソーシャルDAOでは、コミュニティの結束力を高めるために社会学的アプローチが取り入れられています。また、Developer DAOのような技術コミュニティでも、社会的インクルージョンや多様性を重視した組織設計が行われています。
法学部生のWeb3活用法
法学部生は、Web3の規制環境や知的財産権の問題に対応するリーガルアドバイザーとして活躍できます。NFTの著作権問題やDAOの法的位置づけなど、Web3特有の法的課題は数多く存在します。
特に日本では、暗号資産やNFTに関する法規制が発展途上であり、法的知識を持つWeb3人材の需要は高まっています。Pacific MetaやDeFimansのようなWeb3コンサルティング企業では、法務アドバイザーとしての役割が重要視されています。
文系専攻×Web3職種マトリクス
以下のマトリクスは、文系の各専攻とWeb3職種の適合度および活かせるスキルを示しています。自分の専攻から最適なWeb3キャリアパスを見つける参考にしてください。
専攻 | コミュニティマネージャー | コンテンツクリエイター | トークンエコノミスト | ガバナンス設計者 |
---|---|---|---|---|
文学 | 適合度: ★★★ コミュニケーション能力、ストーリーテリング、文化理解 | 適合度: ★★★ 文章力、物語創作、編集能力 | 適合度: ★ 基礎的な経済知識が必要 | 適合度: ★★ 社会的文脈理解、倫理観 |
経済学 | 適合度: ★★ 経済理論の理解、データ分析 | 適合度: ★★ 経済知識の解説、レポート作成 | 適合度: ★★★ トークンエコノミクス設計、ゲーム理論、金融知識 | 適合度: ★★★ 政策分析、リスク管理、経済モデル設計 |
社会学 | 適合度: ★★★ 集団行動理解、コミュニティ運営 | 適合度: ★★ 社会問題の解説、調査報告 | 適合度: ★ 経済学の補助的知識が必要 | 適合度: ★★★ ガバナンス構造設計、合意形成 |
法学 | 適合度: ★ 法的知識のコミュニケーション | 適合度: ★★ 法的解説、規制情報の発信 | 適合度: ★ 経済知識は限定的 | 適合度: ★★★ 法規制理解、コンプライアンス管理 |
教育学 | 適合度: ★★★ 知識伝達力、コミュニティ育成 | 適合度: ★★ 教育コンテンツ制作、わかりやすい解説 | 適合度: ★ インセンティブ設計の基礎知識 | 適合度: ★★ 組織運営、ルール設計 |
心理学 | 適合度: ★★★ 行動心理分析、コミュニケーション | 適合度: ★★ ユーザー心理の解説、UX設計 | 適合度: ★★ 行動経済学、インセンティブ設計 | 適合度: ★★ 集団意思決定、心理的安全性 |
情報社会学 | 適合度: ★★★ デジタルコミュニティ理解 | 適合度: ★★ Web3コンテンツ制作、メディア分析 | 適合度: ★★ デジタル経済の理解 | 適合度: ★★★ 分散型組織設計、情報ガバナンス |
国際関係学 | 適合度: ★★★ 異文化コミュニケーション | 適合度: ★★ グローバル視点のコンテンツ | 適合度: ★★ 国際金融、規制の違い | 適合度: ★★★ 国際的ガバナンス、多様性理解 |
文系出身者がWeb3で活躍できる具体的な分野
コミュニティマネジメント
Web3プロジェクトの成功は、活発なコミュニティの存在に大きく依存します。DiscordやTelegramなどのプラットフォームを通じてコミュニティを育成し、エンゲージメントを高める役割は、心理学や社会学の知見が活きる分野です。
コミュニティマネージャーとして活躍するには、オンラインコミュニケーションの特性を理解し、多様な背景を持つメンバー間の対話を促進する能力が求められます。
採用責任者として見てきた経験から言えるのは、技術的な知識よりも「人間理解」の方が重要だということです。メンバーの動機や感情を理解し、適切なコミュニケーションを取ることで、技術的な問題も解決に導けることが多いのです。
コンテンツ制作とストーリーテリング
Web3プロジェクトを広く伝えるには、技術的な説明だけでなく、共感を呼ぶストーリーが必要です。なぜそのプロジェクトが重要なのか、どのような未来を目指しているのかを伝えるコンテンツ制作は、文学や歴史学を学んだ人の強みが発揮される場です。
ブログ記事、SNS投稿、ホワイトペーパーなど、さまざまな形式のコンテンツを通じて、プロジェクトの価値を伝える役割は非常に重要です。
トークンエコノミー設計
Web3プロジェクトの多くは独自のトークン(暗号資産)を発行しています。このトークンの経済設計には、経済学や心理学の知見が不可欠です。
インセンティブ設計、価値保全の仕組み、トークン分配の公平性など、持続可能なトークンエコノミーを構築するには、テクニカルな側面だけでなく、人間行動の理解が重要です。
ガバナンスと政策形成
分散型自律組織(DAO)など、Web3の新しい組織形態では、民主的な意思決定プロセスが模索されています。政治学や行政学を学んだ経験は、効果的なガバナンスシステムの設計に活かせます。
また、規制が発展途上のWeb3分野では、各国の法規制を理解し、コンプライアンスを確保する役割も重要です。法学の知識を持つ人材の需要は高まっています。
大学生からWeb3キャリアを構築するステップ
基礎知識の獲得から始める
Web3の世界に飛び込むには、最低限の技術的理解が必要です。ブロックチェーン、スマートコントラクト、NFTなどの基本概念を理解しましょう。
オンライン学習プラットフォームや、日本語で解説された入門書から始めるのがおすすめです。あなたの文系的背景を活かすには、まず「何が可能か」という技術の可能性を理解することが重要です。
文系の方は、まず応用例から入ることをお勧めします。技術的な詳細よりも「何ができるのか」という観点で学ぶことで、徐々に理解が深まるでしょう。
実践的な経験を積む方法
実際のWeb3プロジェクトに関わる経験が、最も効果的な学習方法です。以下のような方法で実践的な経験を積みましょう。
- 関心のあるNFTプロジェクトのDiscordに参加し、コミュニティ活動に貢献する
- DAO(分散型自律組織)のワーキンググループに参加する
- Web3関連のブログを立ち上げ、学習内容をアウトプットする
- ハッカソンやWeb3イベントに参加して人脈を広げる
特に個人ブログの運営は、あなたの実体験と専門知識を組み合わせることで、SEO的にも強いコンテンツとなり、Web3就職の際のポートフォリオにもなります。
自分の専門性を明確にする
Web3は広大な分野です。リベラルアーツの背景を活かせる特定の領域に焦点を当てることで、専門性を高めましょう。
例えば、哲学を学んだ人なら「Web3の倫理的課題」、経済学を学んだ人なら「トークンエコノミー設計」など、あなたの専門性を掛け合わせたユニークな立ち位置を作ることができます。
学生時代にできるWeb3準備:インターンシップと実践活動
大学生のうちからWeb3キャリアの準備を始めることで、就活時に大きなアドバンテージを得られます。特に以下の活動がおすすめです。
- Web3企業でのインターンシップ
DeFimansでは新卒・インターン採用を行っており、高卒/高専・大学在籍中の学生を募集しています。Web3コンサルティングの現場で実践的な経験を積むことができます。 - 大学の研究テーマにWeb3を選ぶ
卒業論文やゼミの研究テーマにWeb3関連のトピックを選ぶことで、専門性を深めながら学術的な視点も養えます。 - 学内Web3コミュニティの立ち上げ
同じ興味を持つ学生と共にWeb3勉強会やイベントを開催することで、リーダーシップやコミュニティ運営の経験を積めます。 - オンラインコミュニティへの参加
Developer DAOなどのグローバルなWeb3コミュニティに参加し、国際的な視野と人脈を広げましょう。
Web3人材スキルレベルマトリクス
以下のマトリクスは、文系Web3人材に必要なスキルを「技術理解」と「リベラルアーツ応用力」の2軸で表現しています。各レベルで求められるスキル要件を把握し、自分のキャリアパスを計画する参考にしてください。
レベル | 技術理解 | リベラルアーツ応用力 | 期待される役割と成果 |
---|---|---|---|
Entry(0-1年) | – ブロックチェーンの基本概念理解 – NFT、DeFi、DAOなどの基礎知識 – Web3ツールの基本的な利用経験 | – 専攻分野の知識をWeb3に結びつける – 基本的な文章作成能力- オンラインコミュニティへの参加経験 | – チームの一員としてタスクをこなす- 基本的なコンテンツ制作 – コミュニティ活動のサポート |
Junior(1-2年) | – スマートコントラクトの仕組み理解 – トークンエコノミクスの基礎知識 – Web3プロジェクトの分析能力 | – 専門知識を活かした独自の視点提供- 効果的なコミュニケーション能力 – 批判的思考によるプロジェクト評価 | – 独自のコンテンツ制作- 小規模なコミュニティ運営 – プロジェクト分析レポート作成 |
Middle(2-4年) | – 複数のブロックチェーン比較分析 – トークンモデル設計への参画 – 技術トレンドの把握と予測 | – 専門分野とWeb3の融合領域の開拓 – 複雑な概念の翻訳と伝達能力 – 学際的アプローチによる問題解決 | – チーム/プロジェクトのリード – 戦略的コンテンツ企画- ガバナンス設計への参画 |
Senior(4年以上) | – 技術的課題の社会的影響の分析 – Web3エコシステム全体の理解 – 技術と社会の接点における深い洞察 | – 分野横断的な知見の統合と応用 – 新しい概念やフレームワークの創出 – 社会的・倫理的課題への対応能力 | – 組織/DAO全体の方向性決定 – 業界への影響力発揮 – イノベーションの主導 |
就活スケジュールに合わせたWeb3準備ロードマップ
大学2年生(夏〜秋):基礎知識の獲得期
- Web3の基本概念を学ぶオンラインコースを受講する
- 関心のあるWeb3プロジェクトのDiscordに参加し、コミュニティの動きを観察する
- Web3関連のニュースサイトやXアカウントをフォローし、最新情報をキャッチアップする
大学3年生(春):実践的経験の蓄積期
- Web3関連のブログを立ち上げ、学習内容をアウトプットし始める
- 小規模なDAO活動に参加し、実際のプロジェクトに貢献する
- 自分の専攻とWeb3の接点を探り、専門性を高める領域を決定する
大学3年生(夏):インターンシップ挑戦期
- DeFimansやPacific Metaなど、Web3企業のインターンシップに応募する
- Web3ハッカソンやイベントに参加し、実践的なプロジェクト経験を積む
- ポートフォリオの基礎を作り始める
大学3年生(秋〜):就活期
- Web3企業のリサーチを本格化し、志望企業リストを作成する
- ポートフォリオを完成させ、自分の専門性と実績を明確に示す
- Web3コミュニティでの人脈を活かし、OB・OG訪問や紹介を依頼する
- Web3企業の採用情報を定期的にチェックし、積極的に応募する
- 面接では自分の文系的バックグラウンドがもたらす独自の価値を明確に伝える
- 内定後も継続的に学習し、入社までにさらに専門性を高める
新卒採用を行っているWeb3企業の具体例
DeFimans(デフィマンス)
東京都港区に拠点を置くWeb3プロフェッショナルファームです。金融・IT・エンタメ領域を中心に、Web3事業の戦略策定から実行支援までを一気通貫で手掛けています。2025年4月現在、新卒採用を積極的に行っており、コンサルタント、セールス&マーケティング、コーポレート職などの職種で募集しています。特にトークンエコノミクス設計やファイナンス分野で文系知識を活かせる環境があります。
Pacific Meta(パシフィックメタ)
Web3総合コンサルティング企業として急成長中の企業です。Web3事業に挑戦する国内外の企業やプロジェクトに対し、専門知識を活かした支援を行っています。新卒含め15名の採用に成功しており、文系バックグラウンドを持つ人材も多く活躍しています。
cocone connect株式会社
ココネ株式会社のグループ会社で、アバター・Web3を主な事業としています。ブロックチェーン技術を活用した「ClawKiss」などのプロジェクトを展開しており、エンターテインメント領域でのWeb3活用に力を入れています。コンテンツ制作やコミュニティマネジメントなど、文系学生の強みを活かせる職種があります。
DMM.com
大手IT企業でありながら、Web3事業にも積極的に参入しています。NFTマーケットプレイスの運営やブロックチェーンゲームの開発など、幅広いWeb3プロジェクトを手がけています。大企業の安定性とWeb3の先進性を両立させたいと考える学生におすすめです。
文系学生のWeb3就職戦略
ポートフォリオの作り方
Web3の就職活動では、実際に何をしてきたかを示すポートフォリオが重要です。以下のようなポートフォリオ作成がおすすめです。
- Web3に関するブログ記事やレポート
- コミュニティ運営の実績(Discord管理、イベント企画など)
- 参加したプロジェクトやDAOでの活動記録
- Web3に関する調査研究やホワイトペーパー分析
特に個人ブログでは、あなた自身の体験と専門知識を組み合わせたコンテンツが、読者とグーグルの両方に評価されます。Web3に関する実験レポートや、プロジェクト体験記などが効果的です。
実力を示すための効果的なアプローチ
Web3企業への応募時には、以下のアプローチが効果的です。
- 特定のプロジェクトを深く分析し、改善案を提案する
- 企業のコミュニティに積極的に参加し、貢献する
- 自分のユニークな視点を示す(例:文学的観点からのNFT分析)
- 大学での学びをWeb3にどう活かせるかを具体的に説明する
採用担当者に「この人がいることで、新しい視点が得られる」と思わせることが重要です。技術スキルだけでなく、あなたの文系的バックグラウンドがもたらす価値を明確に伝えましょう。
将来のキャリアパスについてより長期的な視点を持ちたい方は、第二新卒の方向けの記事「【キャリアプラン】IT業界で10年後を見据えたキャリア設計術」をご覧ください。
リベラルアーツとWeb3技術の融合事例
人文学の視点を活かしたNFTプロジェクト
芸術史の知識を活かして、NFTアートの文化的価値を高めるキュレーションプラットフォームを立ち上げた事例があります。単なるデジタルアートの販売ではなく、作品の文化的・歴史的文脈を解説することで、コレクターにより深い価値を提供しています。
具体例として、「PubDAO」は文学と出版の知見を活かしたメディアDAOで、Web3ツールを使って従来のメディア制作と配信の方法を再定義しています。また、「Bored Ape Yacht Club (BAYC)」は単なるデジタルアートコレクションを超え、コミュニティとストーリーテリングを重視した文化的現象となりました。BAYCの成功は、技術だけでなく人間の帰属意識や社会的つながりへの理解があったからこそ実現したものです。
Decentralandのような仮想世界では、芸術史や建築学の知識を持つ人々が仮想ギャラリーを設計し、没入型のアート体験を創出しています。これらのプラットフォームでは、技術的な知識よりも空間デザインや芸術理解といった人文学的素養が重要視されています。
社会学的アプローチによるDAOガバナンス設計
社会学の知見を活かして、より公平で効果的なDAO(分散型自律組織)の意思決定プロセスを設計した例も注目されています。投票権の分配や合意形成のメカニズムに、社会学的な集団行動研究の知見を取り入れることで、より持続可能なガバナンスが実現されています。
「Friends With Benefits」は文化的クリエイターのためのソーシャルDAOとして、社会学的視点を取り入れたガバナンスモデルを採用しています。また、「Developer DAO」はWeb3開発者、デザイナー、マーケターのコミュニティとして、技術的な貢献だけでなく、社会的インクルージョンや多様性を重視した組織設計を行っています。
MakerDAOは、経済学と政治学の知見を活かした複雑なガバナンスシステムを構築し、リスクパラメータや担保タイプなどの重要な決定をコミュニティ投票で決定しています。このようなDAOでは、技術的な理解だけでなく、集団意思決定や権力構造に関する社会科学的な理解が不可欠です。
経済学の知識を活かしたトークノミクス
経済学の理論を基にした、持続可能なトークン経済モデルを設計したプロジェクトも増えています。単純な投機対象ではなく、実際の効用を持ち、インフレーションや価値の安定性を考慮したトークン設計には、経済学の深い理解が不可欠です。
「Merit Circle」は経済学の専門知識を活かし、ゲーム内経済とトークン価値の持続可能性を両立させたPlay-to-Earnプロジェクトです。また、「BitDAO」は経済学と金融の知見を活用して、DeFiイノベーションへの投資と成長を促進するための大規模な分散型基金を運営しています。
「Lido Finance」は流動性と収益性を両立させる経済モデルを構築し、ステーキングの仕組みを革新しました。このようなプロジェクトでは、ゲーム理論や行動経済学といった経済学の専門知識が、技術的な実装と同等かそれ以上に重要な役割を果たしています。
これらの事例は、リベラルアーツの知識がWeb3プロジェクトの成功において不可欠であることを示しています。技術だけでは解決できない人間や社会の複雑さを理解し、それを設計に取り入れることで、より持続可能で価値のあるWeb3エコシステムが構築されているのです。
Web3時代のキャリア形成には、【図解】文系向けIT職種完全ガイドDX人材編が参考になります。
まとめ:リベラルアーツこそがWeb3時代の差別化要素
Web3の世界では、技術だけでなく、人間や社会に対する深い理解が求められています。リベラルアーツで培った批判的思考力、コミュニケーション能力、社会課題への感度は、Web3時代に大きな価値を持ちます。
採用責任者として多くの候補者を見てきた経験から言えることは、技術力だけでは今後のWeb3時代を生き抜くことは難しいということです。文系大学生の皆さんも、基本的な技術理解を身につけつつ、自分の文系的バックグラウンドを活かせる領域に焦点を当てることで、Web3キャリアを構築できます。
特に重要なのは、実践的な経験を積み、自分の専門性を明確にすることです。個人ブログなどを通じて、あなた自身の経験と専門知識を組み合わせたコンテンツを発信し続けることで、Web3就職市場での存在感を高めることができるでしょう。
Web3時代は、理系・文系の壁を越えて多様な人材が活躍できる「知の大航海時代」です。私自身、経済学部からエンジニア、採用責任者へと至るキャリアの中で、文理の境界を超えた視点がいかに価値を生むかを実感してきました。
あなたも「文系Web3人材」として、「リベラルWeb3思考」を武器に、新しいキャリアの航路を切り拓いてみませんか?